【不動産投資】管理会社は「安さ」で選ぶと後悔しやすい|一般管理を任せる相手をどう見極めるか
岡山県で不動産会社を経営している、咲良不動産の畠中です。
新築一棟アパート投資について、利回り、物件の選び方、エリア、融資、サブリース、出口戦略とお話ししてきました。今日は、購入したあとの実務、「管理会社をどう選ぶか」のお話です。
- サブリースは付けないことにしたが、では管理会社はどう選べばいいのか
- 手数料が安い会社と高い会社があるが、何が違うのか分からない
- 空室が埋まらないとき、管理会社のせいなのか物件のせいなのか判断できない
- 今契約している管理会社が、本当に合っているのか自信がない
その気持ち、よく分かります。以前のサブリースの記事「家賃保証は、家賃の金額を保証するものではない」で、サブリース・自主管理・一般管理(委託管理)の3つの方式の違いをお伝えしました。今日は、そのうち一般管理を選んだ場合に、実際に管理を任せる相手をどう見極めるか、という一段深い話に絞ります。
先にお伝えしておくと、今日は「手数料の安さが正解かどうか」を断定する記事ではありません。手数料の数字だけでなく、何を基準に管理会社を見ればよいのかを、できるだけ正直に整理します。
管理委託手数料の相場には、実は幅がある
「管理委託手数料の相場は〇%です」と検索すると、メディアによって答えがバラバラなことに気づくと思います。5%を標準とするもの、3〜8%とするもの、3〜5%とするもの、3〜10%とするもの。いずれも民間のメディアや個人の発信による記述で、公的機関の統計に裏付けられた数字ではありません。目安としては、3〜7%程度の幅がある、と捉えるのが実態に近いと思います(以前のサブリース記事では5〜7%程度と書きましたが、あらためて見比べると、もう少し幅があるようです)。
なぜここまで幅が出るのか。複数のメディアで共通して説明されているのは、業務範囲の違いです。家賃の集金代行だけの基本プランなのか、清掃・クレーム対応・滞納保証まで含むフルプランなのか。同じ「手数料5%」でも、含まれている業務がまったく違う、ということが起こります。
また、「管理手数料0円」「格安」をうたう会社について、売買の仲介など別の部分で利益を出す仕組みになっていたり、業務の範囲がかなり限られていたりするケースがある、という指摘も複数のメディアで見られます。安いこと自体が悪いわけではありませんが、額面だけで判断するのは危ういということです。
一般管理で標準的に含まれるとされる業務は、入居者の募集、契約の締結事務、家賃の集金代行と督促、契約更新の事務、クレーム対応、退去立ち会いなどです。一方、家賃の滞納保証、更新事務手数料、原状回復工事そのものの請負などは、会社によって含まれたり含まれなかったりする、オプション寄りの業務として扱われることが多いようです。
手数料の数字だけでなく、その数字で何をどこまでやってもらえるのかをセットで見る。この視点があると、後から「思っていたのと違った」ということが起きにくくなります。管理委託手数料は、毎年かかり続けるランニングコストです。表面利回りと実質利回りの差にも関わってきますので、「表面利回り7%は高いのか低いのか?」もあわせてご覧ください。
良い管理会社・気をつけたい管理会社を見分ける視点
賃貸オーナーが管理会社を選ぶ際に重視する点として、民間のアンケートでは、「担当者の対応が丁寧でスピーディか」「管理費が相場に対して妥当か」「客付け力・集客力が高いか」「業務内容に不足がないか」「その地域に詳しいか」といった項目が上位に挙がっています。小規模なアンケートで業界全体を代表するものではありませんが、一つの参考にはなります。
3つ目の「客付け力」を、もう少し具体的に見てみます。複数のメディアで共通して挙げられているのは、次のような点です。
- 地域の家賃相場を正確に調べているか
- 物件ごとに適切な募集条件を設定できているか
- 地域の仲介業者と広いネットワークを持っているか
- 主要な住宅情報サイトへの掲載や動画内見など、露出を増やす工夫をしているか
岡山市やその周辺では、地域の相場や、どの沿線・どの学区が選ばれやすいかといった土地勘も、客付けに影響します。「その地域に詳しいか」は、軽く見ない方がよい基準です。客付けの具体的な中身は、「“新築プレミアム”が効くのは、最初の入居者だけ|客付け力を左右する4つの要素とオーナーにできること」で整理しています。
制度面から確認できるポイント
サブリースの記事でお話しした賃貸住宅管理業法は、一般管理の業者にも関わります。2021年6月から始まった登録制度では、200戸以上を管理する業者は国土交通省への登録が義務になっています(200戸未満は任意の登録)。登録業者には、管理を受託する契約の前の重要事項の説明と書面の交付、家賃などのお金を自社の財産と分けて管理する義務、定期的な報告の義務が課されています。「登録番号があるかどうか」は、感覚ではなく客観的に確認できるポイントです。
もう一つ、サブリースの記事でお伝えした「修繕・リフォームの指定業者制」は、一般管理でも同じように起こり得ます。修繕の発注先が管理会社の指定業者に限られていると、相場より割高になるケースがあるという指摘です。相見積もりが取れるかどうかは、確認しておきたい点です。
レインズ登録と「囲い込み」の考え方
少し慎重に扱いたい論点です。賃貸の媒介契約は、売買と違って、レインズへの登録が法律上の義務になっていません。そのため「レインズに登録していない=違法」とは言えません。ただ、管理会社が自社で入居を決めたいがために、情報を外に出さず、自社のサイトだけで募集しているケースがある、という指摘はあります。「他の仲介会社にも広く物件情報を回してもらえていますか」と聞いてみるのが、現実的な確認の仕方です。
修繕提案の透明性
月次の報告や修繕の見積もりが、シンプルで分かりやすいかどうかも大切な視点です。国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」では、経年劣化や通常の使用による損耗はオーナーの負担、入居者の故意・過失による損耗は入居者の負担、という考え方が示されています。管理会社が提示する原状回復費用の考え方が、このガイドラインに沿っているかどうかは、一つの客観的な物差しになります。
入居率の実績を具体的な数字で示せる管理会社と、あいまいにしか答えられない管理会社、どちらも見てきました。数字で答えられるかどうかは、シンプルですが分かりやすい見極め方だと感じています。
管理会社を変えたくなる理由から逆算する
管理会社を変更したオーナーへのアンケートでは、変更の理由として、「入居者への対応が遅い・悪い」「空室が埋まらない」「物件の管理に不満がある」「担当者との関係がうまくいかない」「管理費が高い」といった項目が上位に挙がっています。母数の小さいアンケートで、業界全体の統計ではありませんが、「入居者対応」「客付け」「手数料の妥当性」が共通して上位に出てくるのは、偶然ではないと感じます。
つまり、「手数料と業務範囲」「客付け力」「担当者の対応」「修繕の透明性」は、後で変更を考えたくなったときの、つまずきの原因になりやすい項目でもあります。最初に見ておくべき基準は、後で後悔しないための基準でもあります。
管理会社選びのチェックリスト
- 手数料に含まれる業務と、含まれない業務が明確か
- 賃貸住宅管理業の登録番号があるか(200戸以上の場合)
- 入居率の実績を、具体的な数字で示してくれるか
- 修繕の見積もりと原状回復の考え方を、ガイドラインに沿って説明してくれるか
- 相見積もりが取れるか、指定業者制がないか
- 担当者の対応のスピード、報告の分かりやすさ
- 他の仲介会社にも、物件情報を広く回してもらえるか
このチェックリストは、「全部ご自身で判断してください」というものではありません。入居率の実績や修繕履歴の透明性は、日々の賃貸経営だけでなく、将来その物件を手放すときの資産価値にも関わります。出口(売却)の考え方は、「新築アパートは、いつか「築古」になる|10年後・20年後の資産価値と出口戦略」でお話ししています。
管理会社を変えるときのハードルも、正直に
ここまで「選び方」の話をしてきましたが、一度契約した管理会社を変えるのは、思っているより手間がかかります。
- 解約の条件:管理委託契約には、解約の予告期間や違約金の条項が定められている場合があります。「いつでも解約できる」と思い込んで通知したら、思うように動けなかった、というトラブルの指摘もあります
- 引き継ぎ:入居者からの修繕要望・クレームの履歴、入居審査の基準、退去時の原状回復のルールなどが正確に引き継がれないと、変更後の会社がうまく対応できず、入居者との関係が悪くなることがあります
- 事務手続き:家賃の振込口座の変更、火災保険の切り替え、保証会社との契約のやり直し、融資を受けている場合は金融機関への連絡などの負担があります
だからこそ、最初の管理会社選びを丁寧にしておく意味があります。
咲良不動産の立場について
ここまで、できるだけ中立的な立場で情報を整理してきました。私たちは仲介の立場から、中立的に情報を整理し、管理会社選びや契約内容の確認をご一緒するお手伝いをしています。「今の管理会社が合っているのか分からない」という段階でも、遠慮なくご相談ください。管理委託契約書をお持ちいただければ、一緒に確認します。
まとめ
- 管理委託手数料の相場には、メディアによって3〜7%程度の幅がある。数字だけでなく、業務範囲とセットで見る
- 賃貸住宅管理業法の登録、客付け力、レインズ登録の考え方、修繕提案の透明性が、見極めの材料になる
- 管理会社を変えるのは、思っている以上に手間がかかる。最初の選び方が大事
絶対にこの会社が正解、という話ではありません。ご自身の状況に合わせて、基準に照らして確認していただければと思います。
※本記事は、民間メディアなどの一般的な情報の整理であり、個別の物件・会社によって状況は異なります。不動産投資には空室や家賃の下落、金利の変動などのリスクが伴い、利益をお約束するものではありません。
この記事の内容について、もっと詳しく知りたい方はお気軽にご相談ください。



