【不動産投資】新築アパートは、いつか「築古」になる|10年後・20年後の資産価値と出口戦略|岡山市の咲良不動産
岡山県で不動産会社を経営している、咲良不動産の畠中です。
これまで4回にわたって、岡山市で新築一棟アパート投資を検討する方に向けて、利回りの見方・物件(木造×地元工務店)の選び方・エリアの考え方・融資・サブリースについてお話ししてきました。
今日は、少し先の話をします。「その物件を、将来どうやって手放すのか」という、出口の話です。
新築時の利回りや節税効果ばかり見ていて、将来売れるかどうかまで考えていなかった。そう気づいて、はっとした経験はないでしょうか。
こんな不安をお持ちではありませんか
- 毎年黒字なのに、なぜか現金が減っていくと感じている
- 岡山市内など地方の物件は、将来売れないのではないかと不安に思っている
- 木造は出口(売却)で不利になると聞いたが、本当なのか気になっている
その気持ち、よく分かります。今日は「新築で買った時点から、将来の売却まで見据えておくと、何が変わるのか」を、資産価値の変化・デッドクロス・税金・出口の選択肢という4つの切り口で、できるだけ正直に整理します。
先にお伝えしておきたいことがあります。今日は「いつ売るべきか」を指南する記事ではありません。咲良不動産は投資助言業ではなく仲介業者ですので、売却のタイミングを断定的にお勧めすることはできません。ただ、出口を考えるときに何を確認すればよいかは、岡山市・赤磐市エリアの仲介として1000件以上の取引に関わってきた立場からお伝えできます。
資産価値は、築年数でどう変わっていくのか
まず、一棟アパートがどう査定されるのか、そこから整理します。一棟アパートの査定には、主に3つのアプローチがあります。
- 収益還元法(物件価格 = 年間純収益 ÷ 還元利回り)
- 原価法(積算評価)
- 取引事例比較法(補助的に用いられます)
買い手が見る価値と、金融機関が見る価値は、必ずしも同じではありません。この構造を、まず頭に置いていただきたいと思います。
出口利回り、つまり売却時の還元利回りについても触れておきます。この利回りが1ポイント変わるだけで、数百万円〜1,000万円超の価格差が生じる例があるという紹介が業界メディアで見られます。あくまで1つの試算例であり、個別条件によって幅がある、という前提でお読みください。
10年後の売却価値を左右する一般的な要因として、次の5点が業界メディアで紹介されています。
- 築年数・残存耐用年数
- エリアの将来性
- 入居率の維持
- メンテナンス履歴
- 融資環境
これは1メディアの整理であり、業界共通の公式基準ではありません。ただ、考える切り口としては参考になると思います。
もう一点、正直にお伝えしておきたいことがあります。大規模修繕の直前に売却しようとすると、買い手側の値引き交渉材料にされやすい、という指摘があります。出口を考えるときには、修繕のタイミングも合わせて見ておく必要がありそうです。
参考データとして一つだけ触れておきます。区分マンションでは、新築〜築10年で下落幅が大きく、築15〜20年でいったん緩やかになり、築25年超で再び大きくなる、という「谷型」の価格下落パターンが複数メディアで紹介されています。ただし、これは区分マンションのデータです。岡山市内で私たちが扱う一棟アパートは、土地・建物一体の収益還元評価が中心であり、商品性が異なります。このマンション向けの下落率を、そのまま一棟アパートに当てはめることはできません、という点は明確にしておきたいと思います。
もう一つ、マクロな数字にも触れておきます。国土交通省の「不動産価格指数」では、商業用不動産の区分の中に「一棟アパート・マンション(全体)」という指標があります。実際の取引価格をもとに、2010年を100として指数化したもので、直近では173.7程度という水準が紹介されています。これは全国の取引価格の集合的な指数であり、個別物件(岡山市内の一棟アパート)の将来価格を保証するものではありません。マクロな市況の参考情報として捉えていただきたいと思います。
「デッドクロス」という言葉を、正直に説明します
「デッドクロス」という言葉、聞いたことはあるでしょうか。不動産投資業界ではよく使われる言葉ですが、業界特有の用語なので、聞き慣れない方も多いと思います。前提知識なしで読めるよう、丁寧に説明します。
デッドクロスとは、「ローンの元金返済額」が「減価償却費」を上回る状態のことです。減価償却費は、帳簿上の経費で、現金の支出を伴いません。元金返済は、現金の支出を伴いますが、経費にはできません。この非対称性が、デッドクロスの正体です。
- 減価償却費:現金支出なし(帳簿上のみ)、経費算入できる
- ローンの元金返済:現金支出あり、経費算入できない
この非対称性により、帳簿上の利益(課税所得)が増えて税負担が重くなり、キャッシュフローが悪化しやすい、という仕組みです。
木造の物件では、法定耐用年数22年は税務上、減価償却の計算に使う年数であり、「22年で住めなくなる」という建物の物理的寿命を意味するものではありません。今日はその年数が「減価償却費を計上できる期間」でもある、という話です。木造の場合、法定耐用年数22年を過ぎると、建物の減価償却費が0円になります。それ以降は、経費計上できる金額が減る一方で、ローン返済(元金部分)は現金支出として残ります。この期間が終わることが、デッドクロスに直結する、というのが今日お伝えしたいことです。
最悪のケースとして、「黒字倒産」に至るリスクがあるという表現も複数のメディアで見られます。これは統計的な発生件数の裏付けがある話ではなく、リスクシナリオとしての紹介にとどめておきます。
対策として紹介されている考え方も、いくつか整理します(不動産投資系メディアに掲載された税理士監修記事の見解として1件の記事の見解であることを前提にお読みください)。
- 元利均等返済ではなく、元金均等返済にする
- 頭金を入れて、借入額を圧縮する
- 法定耐用年数がより長い物件(RC造等)を選ぶ
- キャッシュフロー悪化に耐えられなければ、「売却して仕切り直す」という判断も選択肢にする
この4つ目が、まさに今日の記事のテーマである「出口」とつながる考え方です。
なお、デッドクロスに関連して、業界メディア上には「ネガティブクロス」という独自の言葉を使う記事も見かけます。これは個人の実践大家が、「税引き後キャッシュフローがマイナスになる年」を独自に定義したもので、記事内では特定の前提条件のもとに数年という試算例が示されています。ただし、これは著者独自の造語・独自試算であり、業界標準の指標ではありません。こうした問題提起をする個人の実践大家もいる、という紹介にとどめておきます。
減価償却が終わると、売る側にも買う側にも何が起きるか
「減価償却が終わる」というタイミングは、実は二つの立場に影響します。一つは、自分が将来「売る側」になったとき。もう一つは、将来の買い手が「融資を受ける側」になったときです。
金融機関の多くは、法定耐用年数を融資期間の目安にする傾向がある、という話があります。法定耐用年数を超えた建物について、金融機関によっては担保評価(積算評価)で建物部分をほぼゼロと評価するケースがある、という指摘があります。この場合、物件評価は実質的に「土地値」に近くなります。土地面積が広い、あるいは路線価が高いエリアほど、評価が残りやすい、という説明がされています。一方で、法定耐用年数を超えていても、土地評価・稼働実績(入居率等)・買主の属性の組み合わせによっては、融資に応じる金融機関もあります。「1行に断られた=全行で不可」というわけではない、という点は、注意喚起として付け加えておきます。
ここで、正面からお答えしておきたい問いがあります。「木造は出口(売却)で不利になりやすいのか」という問いです。競合するメディアの中には、「木造は建物価値の下落が急速」という指摘や、木造の方がRC造より融資期間が短くなりやすい傾向がある、という指摘があります。これは、隠さず正直にお伝えします。ただし、木造だから必ず不利、と一律に断定できるわけではありません。金融機関や借り手の属性、物件の担保評価によって変わる、というのが実態に近い整理です。
売るときにかかる税金(譲渡所得税)を、正直に整理する
国税庁のタックスアンサーに基づいて、譲渡所得税の仕組みを整理します。まず、所有期間の判定基準です。「譲渡した年の1月1日現在」で所有期間が5年を超えていれば長期譲渡所得、5年以下であれば短期譲渡所得に区分されます。税率が、この区分によって大きく変わります。
- 長期譲渡所得(所有期間5年超):税率(概算) 所得税15%+住民税5%(+復興特別所得税) = 約20.315%
- 短期譲渡所得(所有期間5年以下):税率(概算) 所得税30%+住民税9%(+復興特別所得税) = 約39.63%
短期譲渡は、長期譲渡のおよそ2倍の税負担になる、という整理ができます。
次に、譲渡所得の計算構造です。
譲渡所得 = 譲渡価額 - (取得費 + 譲渡費用) - 特別控除額
この式の中で、今日の記事の核心につながるポイントがあります。建物部分の取得費は、購入価格から、保有期間中に計上してきた減価償却費の累計額を差し引いて計算します。つまり、保有期間中に減価償却費を多く計上して節税してきた分、売却時の取得費が下がり、譲渡所得(課税対象額)が増えやすくなる、という表裏の関係があるということです。経費として得をした分、売却時の税金が増える可能性がある。この理解を、まず持っておいていただきたいと思います。
一点、注記しておきます。賃貸アパートのような事業用不動産の取得費計算は、マイホーム売却時の計算式(非業務用)とは異なります。個別の税額計算は、税理士への確認が必要です。この記事では、あくまで仕組みの整理にとどめ、個別の税務判断への断定的なアドバイスはいたしません。
出口の選択肢を、あらためて整理する
出口には、大きく分けて3つのパターンがあります。売却・建て替え・保有継続です。それぞれを、中立的に整理します。
- 売却:家賃収入(不動産所得)がなくなり、その後の所得税・住民税負担がなくなる。まとまった資金を一括で確保できる。課題は譲渡所得税の負担
- 建て替え:新築化による家賃水準の引き上げ、空室リスクの低減、新たな減価償却費の計上(節税効果)。課題は多額の追加投資が必要で、既存ローンとの兼ね合いも生じる
- 保有継続:家賃収入を継続的に得られる。課題は大規模修繕の再見積もり、修繕費用が家賃収入に占める割合の増加
出口が決まっていないまま修繕や建て替えを進めると、思わぬ失敗につながることがあります。売却予定の建物に、過大な修繕費をかけてしまったり。後継者が経営を望んでいないのに、多額の借入を伴う建て替えを行ってしまったり。こうした失敗パターンの指摘が、複数のメディアで見られます。
もう一点、出口を考えるときに思い出していただきたいことがあります。サブリース契約が付いたまま売却しようとすると、買主候補が保証賃料の減額リスクを織り込んで指値をしてくる、あるいは契約解除自体が売却の条件になるケースがあるという点です。出口を考えるときには、この点もあわせて思い出していただきたいところです。
最後に、売却タイミングの一般的な目安についても触れておきます(断定を避けて、あくまで紹介として)。「所有期間5年超(長期譲渡所得の適用)」かつ「築10年以内」の組み合わせが有利とされやすい、という目安が複数のメディアで紹介されています。大規模修繕の直前に売却する、という考え方も紹介されます。これらは”よく語られる目安”であり、個別物件のエリア需要・入居状況・金利環境によって最適なタイミングは変わります。「絶対にこの時期に売るべき」という話ではありません。
まとめ
今日お伝えしたことを、振り返ります。
- 資産価値は「買い手が見る収益還元評価」と「金融機関が見る担保評価」の両面で変わっていくこと
- デッドクロス(元金返済額が減価償却費を上回る状態)という仕組みがあり、法定耐用年数を超えると税負担・キャッシュフローに影響しうること
- 譲渡所得税は所有期間5年を境に税率が大きく変わり、保有中の減価償却が売却時の税額にもつながっていること
- 出口には売却・建て替え・保有継続という選択肢があり、あらかじめ考えておくことで選択肢が狭まりにくいこと
今日お伝えした内容は一般的な傾向・制度の整理であり、個別の物件・税務・融資の状況によって結果は異なります。不動産投資には家賃下落や空室、金利変動、将来の売却価格の変動などのリスクが伴い、必ず利益が出ることをお約束するものではありません。
これまで1000件以上の不動産取引に関わる中で、出口をあらかじめ決めていた方が、結果的に落ち着いて判断できていた、と感じる場面を何度も見てきました。反対に、「そろそろ考えないと」と思ったタイミングで、すでに大規模修繕の時期と重なってしまい、選択肢が狭まっていた方もいらっしゃいました。だからこそ、新築で購入した直後の今の時点から、”いつか売る”という視点を持っておくことには、意味があると感じています。
「自分が検討している物件は、将来どのくらいの価格で売れそうか」「デッドクロスや税金について、自分の場合はどうなるのか」。そんな点が気になる方は、一度公式LINEまたはホームページからお気軽にご相談ください。岡山市・赤磐市エリアの仲介の立場として、査定の考え方や税務相談先の紹介も含めて、一緒に整理させていただきます。
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